なんのために勉強をするのか

なんのために勉強をするのか

子供によく聞かれる質問「勉強って役に立つの?」

親が一番困る質問ではないかな。勉強しなさいと注意すると返される質問。

子供から見ても親を始めとして、大人を見ていても今の学校の勉強が役に立ってるとは到底思えない。しかも納得できる答えを親は返さない(返せない)。

一つの答えが村上春樹の「ノルウェイの森」にあるのをご存知だろうか。

村上春樹のひとつの答え

村上春樹の代表作「ノルウェイの森」の文庫本下巻、P57にそのシーンは出てくる。

緑という元気な女の子が主人公のワタナベ君と一緒にお茶の水を歩いているときに突如とする質問。

「ねえワタナベ君、英語の仮定法現在と仮定法過去の違いをきちんと説明できる?」と突然僕に質問した。

「できると思うよ」と僕は言った。

「ちょっと訊きたいんだけれど、そういうのが日常生活の中で何かの役に立ってる?」

「日常生活の中で何かの役に立つということはあまりないね」と僕は言った。「でも具体的に何かの役に立つというよりは、そういうのは物事をより系統的に捉えるための訓練になるんだと僕は思ってるけれど」

(太字は筆者)

自分は大学生のときに初めて「ノルウェイの森」を読み、ここの部分で衝撃を受けるほど感動した。そして、今でも覚えているし、勉強という修練においてのひとつの答えだと今でも思っている。

自分は大学生の時のべ20人ほど家庭教師をさせてもらったが、特に数学が弱い女の子を担当することが多かった。

数学でトップレベルにいくのではなく、センター試験で最低限の点を取らないと足切りに引っかかるので、今のひどい点数をなんとか上げてもらえないものかと親にお願いされることが多かった。

実はコツを知っていれば、センターレベルの数学はどんなに数学が苦手な人でも200点満点中100点は取れる。時間があれば文系の女子でも150点は狙える。実際自分が担当した子は開始当初30点(200点満点でだよ)というひどい状況だったが、コツを教えることで半年後の本番で150点取ってた。

もっと言うと国立大学の2次試験レベルでも高得点を取るコツがある。それを1年みっちりやれば、合格ボーダーは全然狙える。

ただ、それは数学本来の勉強方法とは違う。数学は本来実に美しい学問だ。特にオイラーが生み出した公式や理論の数々は証明を見るとため息しか出てこないほど美しい。

そのレベルの数学を理解するための準備段階として高校の数学があるのだが、受験という観点に立てば、そんなの知らなくても点は取れる。

簡単ではないよ。がんばって勉強する必要があるんだけど、一般的な勉強方法とはかなり異なる方法を自分は大学受験のときに気がついて、家庭教師でもそれを生徒たちに教えることでまず間違いなく点は伸ばしてきた。

そこで出てくる質問が「この勉強が社会でなにかの役に立つのか?」ということ。

正直役に立たない。でも入試を突破するにはやるしかない。

そんなジレンマが多少なりとも受験時代はあるものだけど、「ノルウェイの森」のこの一節を読んで、目の前の霧が晴れる思いがした。

そう、この数学の勉強法ひとつ取っても、なにかの役に立つわけではないが、社会に出てからは学生時代とは比較にならないほどいろんな状況に遭遇するわけで、その時学生時代に苦労した勉強方法がベースになるのだ。

あの時訓練したから、社会で遭遇する未知もしくは応用の問題に対して取り組む免疫ができているわけ。

だから読書って大事なんだよ。本から学ぶことは多い。

さぁ、村上春樹を読もう

自分はハルキニストを名乗るほどではないけど、村上の作品はエッセイなどを除けばほぼ全部読んでる。そして年に一度ぐらい、集中して代表作を読み返すことをしている。

これも予備校時代に国語の先生が教えてくれた読書の方法。

その先生は「年に一度夏目漱石を読み返すんだけどね、さすがに漱石で、読むたびに違うところで感動する」ということを言ってた。

好きな作家を年に一度読み返す。そういう読み方があるのかと教えてもらった。

自分の場合米澤穂信と村上春樹を毎年一気読みする時期を作ってる。米澤は純粋にエンタメとして読むけど、村上はいろいろ考えさせられたり、「はっ」とするところがそれこそ毎年違う場所であるので、やめられない。

ちなみに、「ノルウェイの森」の同じく文庫本下巻の170ページに、長沢というスーパーマンが主人公の僕に対して別れ際に言う言葉がある。この言葉も大学のときに初めて出会って以来人生のモットーになってる。座右の銘と言ってもいいぐらいだ。興味ある方はぜひ読まれたし。

もし村上春樹を読んだことがなければ、以下の順番に読むのがオススメ。

初期4部作(完結、いわゆる鼠シリーズ)

  • 風の音を聴け
  • 1973年のピンボール
  • 羊をめぐる冒険
  • ダンス・ダンス・ダンス

単体長編小説

  • ノルウェイの森
  • 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド
  • 海辺のカフカ

鼠シリーズは村上を一気に有名作家にした代表シリーズで、特にダンス・ダンス・ダンスはベストに上げる人も多い。自分はピンボールで描かれる双子との生活が結構好きだけどね。

ノルウェイの森は言わずもがなの有名作品だけど、どちらかというと村上にしては結構異端な作品で、これだけを読んで「村上は〜」と思わない方がいい。

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランドは今ちょうど読み返しているところだけど、これもベストに上げる人が多い、非常にユニークな作品。長いけど。

そして、2002年に刊行された「海辺のカフカ」は、村上ワールドがだいたい分かってきてから、ぜひ読んでほしい。村上の得意な2つの話が同時に進むパラレルワールドタッチだけど、終盤に「見事」としかいいようのないほど1つに収束し、そして、終盤のあるシーンで「この長い長い小説は、この一文を書くためだけに描かれてきたのではないか」という衝撃の一文がある。自分はここで涙が次から次へと溢れて止まらず、どうしようかと思ったよ。

さぁ、村上春樹を読もう!(勉強論じゃなかったのかよ)

 

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