サマータイム導入の是非:あと2年で導入なんて無理に決まってんだろ!とは言わないが

サマータイム導入の是非:あと2年で導入なんて無理に決まってんだろ!とは言わないが

サマータイム導入の議論は昔からあった

アメリカなんかでは普通に使われているサマータイムを、今日本の政府が突如として「東京オリンピックまでに導入したい・・・かも」という発表をした。

2020年まであと2年しかないじゃないか・・・というIT業界からの反発。

ただ、サマータイム導入については昔から議論があったのですよ。自分がこの業界に入った20年ぐらい前からもあったし。その度に雲散霧消していったけど。

今回は政府がわりと本気っぽい態度で言い出したので大騒ぎになった。この是非についてのポイントは2つあると思う。

1.やれと言われればやるが、2年では無理もしくは現実的ではない
2.そもそもサマータイム導入なんてヤだ

つまり、「できるけど、もう少し余裕を持ったタイムスケジュールにしようぜ」の「時間くれ派」か、「ヤだよ、そんな面倒なの。それでなくても消費税増税対応とかでプログラミングおよび基盤改修で休む暇ないんだぜ」の「全面否定派」の2つに分かれているように見える。

自分は個人的にはサマータイムはあってもいいと思ってる。でも、IT業界が言うようにあと2年でシステム対応するなんて実質不可能だとも思ってる。

まずはOSおよびファームウェアの問題

WindowsやMac、Linuxのシステムタイムはサマータイム機能がすでに実装されてる。世界的には普通に使われているからね。これをJSTにもサマータイムがあるよ、2時間早めるよというアップデートをしてくれれば問題ない。多分すぐできるだろう。

問題はNW機器だね。シスコとか大手のものは対応してるだろうけど、サマータイムがない日本や中国製の家庭用機器はどうなんだろ。あるようには見えないけど。

コアルーターなんかは大手のものを使っていても、エッジルーターやSWは結構汎用的なものを使っているデータセンターも多い。これを2年以内にJSTをサマータイムに対応させて、すべてファームアップデートするの?いやぁ、オイラならご免蒙りたい。

アプリケーションの問題

一番大変かつ困難なのはこのL7だろうね。消費税増税の時も世間がひっくり返っていたからね。

若い人は知らんだろうけど、オイラたちが高校の頃は消費税なんてものはなかったのだよ。それが初めて3%導入され、5%、8%と増税されてきた。2019年以降に10%になる予定だ。

おそらく、消費税を計算するシステムを長らく組んできたプログラマは経験があるので、税率をグローバル変数で持たせてあるはずだ(と信じたい。まさかハードコーディングしてないよね?)。だから8%→10%になっても、多分改修は思ったほど難しくはないと思う。特にPOSみたいな大規模なシステムはね。

でもサマータイムはどうだろう。日本のプログラマは経験がないから、やるとなると今回初改修になるはずだ。

これもシステムタイムをハードコーディングするようなアプリなんてないと思うが、cronなんかでは時刻を直接指定するので、バッチ処理系は全部見直しになるよね。

cronって一言で言っても、昔cronで組んだバッチ処理なんかもう忘れている人も多いはずで、サマータイムになった瞬間いきなり「あれ、なんか処理が遅れてる・・・」なんて事態が多発するように思える。

安定稼働しているバッチのcronなんていちいち覚えてないよね。「あ、そこ、cronでやってたんだっけ」みたいなのがたくさんあると思う。

それから、時刻を使うアプリは「通常タイム」→「サマータイム」→「通常タイム」と移っていった時の計算ルーチンも全部書き直しのはず。

MRTGなんかはワールドワイドで使われているから、OS側のクロックを見て自動で処理しているんだろうけど、自前で書いてるアプリなんかはいちからソースコードを見直さないと怖いよね。

一番怖いのは命を預かる業界のアプリ

例えば病院の手術なんかで使われているシステムとか、航空管制システム。航空システムなんかはたまに大規模改修をすると必ずと言っていいほどバグってるよね。その度に空港が大混乱してるけど、飛んでいる飛行機や、それを制御しているシステムにバグがあったら、どうする・・・と想像するだけで怖い。

他にも鉄道や、信号機、警察が使うシステムなど、命に関わるシステムなんてたくさんある。

欧米でサマータイムが導入された時って、今ほどIT化が進んでいなかったから、ITが発達するにつれ、システムやプログラムを組む時に始めからサマータイムのルーチンが入っていたはず。

でも、これを今の時代の日本がやろうとなると、ほとんどブラックボックス化している巨大システムなんかでは、どこで不具合が生ずるか分からない。

だから、サマータイム導入そのものは否定しないけど、あと2年というのはあまりにも性急すぎると思うわけ。

では何年あればいいのか・・・は正直分からない。大手SIerの知識人を政府が呼んで、1年ぐらいかけてスケジュールを算定すべきでしょう。総務省なんかは新しい制度を作る時、業界の人をたくさん呼んで、半年〜1年ぐらいかけて議論するんだけどね。

なんか今回の件はオリンピックありきで政府が先走ったようにしか見えない。事前に1年ほど業界含めて一緒に検討し、「検討した結果、予算はこれぐらい、スケジュールはこういうステップで1年半かけて行うことで可能という結論に達した」とグラフなり、業界人の補足なりがあったら、事情はずいぶん変わったと思うけどね。

ITシステムなんかまるで素人に見える政治家が堂々と言うから反発を招いたと思うのよ。そういう点でも日本の政治家ってパフォーマンスというかプレゼンが下手だなって思う。

こうすればいいんじゃね?

何回も言うけど、サマータイムそのものは否定しない。7-8月だと、もう朝5時ぐらいになると明るいし、夜は7時ぐらいまで街灯がいらないぐらいなので、まだ明るいうちに会社を出て、家族なり恋人なりで夜を楽しむのは経済活性化の点でもいいと思う。

でもITシステム改修の負荷はまだ見えない。予算とエンジニアの負荷はそうとうなものでしょう。

だったらね、「明日から出社時間を7時にします。退社時刻は15時です」とかにすればいいんじゃね?

システムはなにも変更せず、人間の行動ルールだけを変えるの。

これだとひと手間増えるのは勤怠システムぐらいなもので、でも勤怠って「何時間働いたか」が重要なのであって、開始と終了時刻はそれほど問題じゃないでしょ?修正が必要なのは残業時間の計算ぐらいかな。

これだとみんな早い時間から飲んだりして、終電を気にする必要もないし(サマータイムだと時刻そのものが2時間早くなるので終電問題はいぜんとして残る)、影響あるのは深夜割増が減るタクシー業界ぐらいのものかな。

どうでしょ。どうしてもやりたいなら経済界とアンドをとって、まずは来年始業時間を1時間はやめ、2年後に2時間はやめるというので。

これだとITシステムにもあまり影響はないと思うよ。今でもフレックスで似たようなことはしているわけだし。

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