年収800万円の人材の探し方

年収800万円の人材の探し方

年収800万円の壁

SPA!のwebでこんな記事がありましてね。

普通のサラリーマンが年収800万円の壁を超える方法

記事の要点は「強みを3つ作れ」ということ。

言ってることは正論なんだけど、採用する方からすると「強みが3つあるからと言って、800万出すとは限らない」といったところ。

ただ、3つぐらい強みがないと少なくとも800万は超えないので、「強みが3つある」は年収800万円への必要条件。だけど、十分条件ではない。

まだ800万を超えていない人は「同業、同社、同年齢の人と比べて、強みと言えるものが3つあるか」を自問してみるといいと思う。

例えば、自分が属しているIT業界だと、「Javaの開発が速くて高品質」「ドキュメント作成が速くて正確」「英語が話せる」とか。

ただ、繰り返すけど、だからと言って会社から見た場合800万出すかと言われれば別の話。

なので、この記事を読んだ時「言ってることは分かるけど、不十分だよねぇ」と思った。ポイントが違うというか。

強みを3つ作ればいいというわけではなく、経営層が求めているものはなにかを考えた方がいい。

周りの年収800-1000万オーバーの仕事ができる友人知人を見ていると、共通することがいくつかあるので、ここではそれを書いてみたい。

ここではタイトル通り、個人の立場から「どうやったら年収800万を超えるのか」ではなく、「どうやれば800万出しても欲しい人材を見つけられるか」という観点で書いてる。

ただ、これは裏を返せば「こういう人材が会社としては800万以上出しても欲しいと思っている」ということなので、800万というラインを目指している人も参考になると思う。多分。

年収800万円の人に求めるもの、立場

我々IT業界で言うと、外資でなければ年収800万を超えるのは早い人でも35歳ぐらいから。

会社が800万出してでもその人を雇いたい、手元に置いておきたい理由は、「リーダー」から「中間管理職」、さらに「将来の幹部候補生」と見ているから。

リーダークラスで800万はまず無理で(聞いたことない)、中間管理職を何年か経験し、そろそろ幹部(取締役)の候補として上が見始めたという時期に800を超えてる人が多いように見える。

では、年収800万、場合によれば1,000万出してでもその人が欲しいという人材に共通する要素はなにか。自分が知ってる1,000万プレイヤーを見ていると共通しているのは下記の6点。

・1つでもいいから圧倒的なスキルを持っている。
・業種に捕らわれない多様な経験を持っている。
・人脈が豊富。
・コミュニケーション能力が高い。
・火消しができる。
・まとめる力を持っている。

ひとつひとつ見ていこう。

圧倒的なスキルを持っている

SPA!の記事にも書いてあるけど、強みと呼べるスキルを3つ以上持っているのは必要条件だと思う。

ただ、その中でも「他を圧倒するほどの」スキルが1つは欲しい。

自分が知ってるIT系エンジニアだと、某DBやメールソフトのソースコードをローンチ前にもらってレビューし、コメントを返す権限を持っている人とか、周りから「同じアルゴリズムで書いているのにあいつが書くとなぜか5倍ぐらい速いJavaプログラムになる」とかいう人がいる。もちろんみんな800万オーバーの人ばかり。

そこまででなくても、「そのことならあの人に聞け」と言われるぐらいのスキルを1つでもいいから持ってるのが高収入の人の特徴。

経験豊富

ひとつの業種で長年仕事をしていると経験豊富なのは当然のこと。しかし、800万オーバーの人は、「え、そんな経験もお持ちなんですか」という経歴を持っている人が多い。

例えば、またIT系の話になるけど、Javaのエンジニアなのに、GIS(地理情報システム)に異様に詳しいとか、音楽のMIDIの規格に関わった人とか、RFCの査読をやってる人とか。

ひとつの会社で働いていても、長年勤めていると畑違いの仕事や案件があるもの。それを「やったことがないから」と恐れたり、ふてくされたりするのではなく、「新しい経験ができるいい機会」と捉えて、全力で仕事をしよう。

IT系のエンジニアだと、例えば次のような項目で「経験豊富です」と言えますか?
・TCP/IPのプロトコルが分かる
・無線の規格が分かる(WiFiは当然のこと、CDMA/OFDMAや携帯のコアネットワークのこととか)
・ハッキング/クラッキングできるぐらいのセキュリティ知識、技術
・組み込み系プログラム
・汎用系プログラム(cobolとか)
・DeepLearning、ブロックチェインプログラムをスクラッチで書ける
・3DCGを描ける
・スプライト処理、ポリゴン処理など、ゲーム/アニメーションプログラムが書ける
・電力制御の設計ができる
・CPUのレジスタを理解したC言語プログラムを書ける

書き出せばキリがないけど、「専門はJavaプログラマーだけど、Mayaを手足のように使えるっすよ」とか、同じIT系の中でも異分野のスキル/経験を複数持っている人が高給取りには多い。

コミュニケーション能力が高い

コミュスキルはどんなビジネス本でも「大事」と書かれているけど、年収800万を超える人材に求められるのは、一般的に言われるようなぬるいものではない。ストレートに言うと「人の心が分かる」スキル。

なんでそんなメールしか書けないの?とか、そら、電話でそんな言い方したら普通相手は怒るわとか、相手の気持ちや心が理解できない、想像できない人で800万を超えてる人はいない。

まだ800万に達していない人で、「人の心なんて分からないよ」という人は、D・カーネギーの名著をまずは読もう。

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そして、メールなりドキュメントなりで人の心が掴めないという人は、まずは本多勝一の名著で正しくて分かりやすい日本語を書く技術を学ぼう。

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まずはこの2冊を読んで、自分が発する言葉、書く日本語で相手はどう思うのか考える癖をつけ、その上でたくさん(仕事上の)人と会話をしよう。サラリーマンで年収800万を超えてる人にコミュ障はいない。

自分が書く日本語において、「その読点(、)は絶対に必要か?」と聞かれて、理由を答えられない人は本多勝一の本を読んでください。「、」は「ここしかない」というポイントでしか打ってはいけないのです。

人脈が豊富

年収で800万超え、特に4桁超えの人は人脈の広い人が多い。恐ろしく顔が広かったりする。

あとの「火消し」にもつながるのだけど、人脈が広いというのはなにか困った事態が発生した時に「この人にお願いすればなんとかなる」という人を何人も持っているということ。

また、ニュースやwebなどでは手に入らない情報を教えてくれる人も「豊富な人脈」に含まれる。こういう人は、情報をもらったり、困った時に助けてもらうだけでなく、それをお願いされる人材でもある。

火消しができる

もうね、自分が個人的に思う「年収800万の壁」って、極論これに尽きると思う。

800万-1000万超えの人って、火消し能力が異常に高い。

火消しって、トラブルシューティング能力と思われがちだけど、それだけではなく、人の心が分かるので、大トラブルが発生した時でも顧客やパートナー、自社の上司、社長などの対応能力が異様に高い。

トラシューは純粋な技術。謎解きと同じ。能力があれば必ず解決できる。

しかし、対人の対応は心の問題なので、上に挙げたコミュ能力が高くないとまず無理。コミュ能力が低い人が対人対応にあたると余計にこじれる。

しかし、高収入の人だと、その人が謝罪の場に出ていくだけで丸く収まる。

会社にとって、これほどありがたい人材はいない。だから同年齢、同経歴の人と比べて、1.3-1.5倍ぐらいの給料を出しても手元に置いておきたい。

まとめる力

これも火消しやコミュ能力に通ずるものだけど、高収入の人はとにかくまとめる力がずば抜けて高い。

議論が発散していた会議に、その人が参加すると途端に結論が出たというのを目の当たりにしたことも多いと思う。

まとめる力に要求されるものは2つ。

1つは非常に高い論理力。物事をロジカルに考えることができ、フレームワークが体に染み付いているので、会話しているだけで頭の中にフレームワークが浮かび上がり、論理的にまとめることができる。

これは訓練しないとできないことだけど、訓練すれば誰でもできるので、集中的に勉強すればいいと思う。本を参考にするならMBAの教科書本を片っ端から読む。

もう1つは、やはりコミュ能力。

論理思考ができる人でも、「ばっかだなぁ、そんなことも分かんないの?」と言った瞬間場は凍り、人はついてこなくなる。

自分の言動の影響力をちゃんと理解して、会話ができる人が人の心を掴み、まとめることができる。

IT系だと35歳を過ぎたぐらいから単なるエンジニアやプログラマーを超え、コンサルやプロマネの能力を求められることが多くなってくる。

こういった職種は論理思考、対人能力など総合的な力を求められるけど、「まとめる力」も絶対的に求められる能力。

年収800万の人材を採用で探す

さて、人事の立場から、「800万出してでも欲しい人材」をどうやって探すのかという話題。上に挙げたような能力を持っている人は800万出してでも欲しい人材のはず。

まず、基礎的なスキルのチェックにはペーパーテストをした方がいいと思う。

自分も35歳ぐらいから会社の中で採用人事に関わることが多かったけど、基礎的なスキルチェックをしない会社が多いことに驚く。社会人にまでなってペーパーテストをするなんて相手に失礼と思っているのかもしれない。

しかし、「人はいいのに、雇ってみたら恐ろしくスキルが低かった」ということも多い。日本だと雇うのは簡単だけど、解雇は難しいので、スキルが低すぎて使えないと思っても簡単に切ることはできない。

そういう「前提」レベルのチェックのためにペーパーテストはしておくべき。

その上で、将来の幹部候補生すらなり得る人材を得るための、面接時のチェック項目を自分なりに思う観点で書いてみたい。

人脈

相手がどういう人脈を持っているか、もしくはどういう考えで人脈を作ってきたか/作ろうとしているかをチェックする質問をする。

「自分ではどうにもできないトラブルが発生した時に、社外で頼れる人はいますか?」と聞く。

「いる」と答えた場合、「それはどういう人ですか?なぜ頼れるのですか?」と重ねて聞く。

これを2-3のパターンで聞いてみると、相手が人脈に対してどういう考えを持っているか分かる。

豊富な経験

多種多様な経験が大事と書いたけど、それはレジュメを見ればだいたい把握できるし、面接の最初の方でレジュメベースの質疑応答でだいたい分かると思う。

その上で、「自分の経歴の中で『修羅場』と呼べるトラブルや経験はありますか?」と聞いてみる。

大事なのは、自分にとって修羅場と呼べる大規模なものでなくていい点。面接を受けている(採用しようとしている)相手が修羅場と考えているトラブルや経験を1つ、2つ語ってもらうのだ。

そして、「その時あなたはどういう気持で対応していましたか?」と質問する。

自分はIT系の仕事なので、IT系の修羅場の話になるけど、リーダーを取れる人に求めるのは修羅場でも心の中では笑っていられる余裕を持っていること。間違ってもお客と一緒にパニクるような人はいらない。

修羅場というのは、大きな謎を抱えたパズルが目の前にあるようなもの。もちろんシステムが止まるようなトラブルだと顧客はかんかんに怒るので、それは対人能力でちゃんと対応するとしても、「今まで見たこともないような謎が目の前にある。面白いじゃないか。ひとつひとつ潰していきながら、どこが問題なのか解き明かしてみようじゃないか」と、心の中では嬉嬉として対応にあたるぐらいの余裕が欲しい。

火消し能力

修羅場対応は余裕を持って対応する冷静さが必要だけど、顧客対応は一転して非常に高いコミュニケーション能力が求められる。

先の修羅場の経験談の時に重ねてでもいいけど、「その大きなトラブルの時、顧客対応はどうされましたか?」と質問する。

人に任せましたが最悪の回答で、次に「時間がかかる手段」を口にする人もこの段階で落ちる。

大事なのは真っ先に謝りに行くこと。だから「すぐに電話をして、謝罪のアポを取りました」というのが正解。

そこから逆算して、詫び状を書く時間、それを上司レビューしてもらい、会社公認のドキュメントにする時間を計算する。

こういう流れを淀みなく言える人は大きな問題発生時に冷静に対応できてきた可能性が高いので、合格。

まとめる力

これはレジュメの内容次第だけど、例えば
「議論がまとまりそうにない会議で、あなたはどうやってまとめいきますか/着地点を探しますか」
とか、
「大きな案件のPMで、あなたにみんなから求められているものはなにでしょうか」
とか聞いてみる。

会議をまとめる力は先にも書いたようにロジックとコミュ能力の両方が必要なので、例えば「まずはみんなが言っている問題点をグルーピングして、根本的な課題を2-3にまとめ、それを解決する打開策があればそれを、なければ妥協点を模索します」とか答えてくれれば嬉しい。

PMでは「会議の最後に必ず当日の議題、決定事項を確認し、漏れがないようにします。これには各人のこれからの作業内容を全員で確認する意味もあります。また、ひとつの議題が終わった時参加者の顔を見回して、理解していないと思える人には理解しているかどうかを確認するようにしています」とか答えて欲しい。

One More Thing

年収800万を超える人には財務諸表を読む能力は必須だと思う。これは職種や業種に関係なく。

少なくとも自分の周りの1千万プレーヤーで財務諸表が読めない人はひとりもいない。

年収800万を取る人にはこの時点でも財務諸表は読めるようにしておいてもらいたい。

だから、面接の段階で「財務諸表は分かりますか?」と確認したい。

簿記を持つほどでなくても、「だいたいは分かるつもりです」と答えが返ってくるなら、「では、あなたが理想的と思う財務諸表を実現できている企業をあげてもらえますか?」と聞いてみるといいと思う。

財務諸表に正解はないので、その人が「いい」と思う企業をあげてもらい、その上で理由を聞いてもらうといいと思う。

例えば(今は知らないけど、5年ほど前の)サイバーエージェントが自分的には理想的な財務諸表を実現している企業だった。

理由を聞かれたら、BS、P/Lの内容の良さはもちろんのこと、「投資CFがだいたい3年ごとにマイナスになり、その次の年から2年連続で営業CFが大幅に増えるからです」と答える。

年収800万を狙いたいけど、財務諸表なんか読めないよ、でも読めるようになりたいよという人に超オススメの本がこれ。

「数字」は語る―3分で読み解く決算書入門―
望月実
日本経済新聞出版社
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自分も若い頃この本で初めて財務3表の読み方を勉強したけど、ほんとにこの1冊だけで財務諸表の読み方が分かるようになる。税理士とかになるわけではないから、財務諸表から企業の活動実態がイメージできればいい。この本はそれにうってつけ。

自分はその後縁があって無料で教えてもらう機会があったので日商簿記は取ったけど、その立場からしても「普通のサラリーマンなら簿記は不要(勉強内容自体はとても役に立つ)、でもこの本は必須」と思ってる。今でも時々復習程度に読み返すこともあるし。

One more thingと言いながら、もう1つ。

少なくとも自分の周りの高給取りは多読家が多い。それも幅広いジャンルの本を読んでいることが多い。

経営層もしくはそれに近い人がビジネス書や成功者の自伝を読んでいるのは当然のこと、数学の本や歴史の本、推理小説からライノベまで読んでいたりする。

800万以上で採用したいと思う人が目の前にいれば「本はよく読む方ですか?」と聞いてみるといいと思う。多読家で仕事ができない人は見たことがない。だから、「年に何冊ぐらい読みますか?」と続けて聞いてみるといいでしょう。

まとめ

サラリーマンはある年齢(個人的には35歳だと思ってる)を超えると、スペシャリストからゼネラリストへステージを上げ、本人も会社もより高い給料を要望し始める。

そのステージで必要とされる能力は35歳までに要求されるものより格段に幅広いものになるので、人事面接でもそこに焦点を当てた内容でみっちり1時間使いたいものです。

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