相続放棄の仕方、注意点

相続放棄の仕方、注意点

今年2018年の1月に父が亡くなった。母は既に亡くなってる。

当初は実家や諸々の現金などを相続するつもりで、司法書士と相談を始めるところだった。

そんなある日、銀行から一本の電話。

「お父様に借金があるのはご存知でしょうか」

知るわけない。

そこから一転して始まった、相続放棄の道。

この記事では、今年始めて相続放棄を経験した自分の体験談を書きたいと思う。

自分で経験して知った、「安易に相続してはいけない」ということ

親などが亡くなって、自分に相続権が発生すると普通は手続きを進めることでしょう。自分もそうだった。

自分の場合父が亡くなった段階で、持ち家の他に現金が700万円ぐらいがあり、相続をするつもりだった。

家は、今自分が住んでいる場所と遠く離れていることもあるし、築40年を越えているので自分で住むつもりもなく、相続後すぐに売却するつもりだった。

しかし、親が亡くなって1ヶ月半後に銀行から電話があり、父に借金があったことを知る。その額約2000万円。

その時思ったのは「あぶねー」だった。

遺産相続は一度受理してしまうと、その後に「やっぱりいりません」と放棄することはできない。

いや、いろんな事情があって、それを裁判所に申し立てれば、相続後であっても全部放棄もしくは部分放棄が法律上認められることもあるらしい。

しかし実際には相続後に放棄が認められることは稀らしい。

今回の経験から知ったことは、「安易に相続していはいけない」ということだ。

相続前に故人に借金がないか、故人に借金がなくても誰かの借金の保証人になっていないかをしっかり確認すること。

そうは言っても故人に借金があるかないか、保証人になっているかどうかは簡単に調べられるものではない。

だから、親が死ぬ前に「なぁ、借金ないよな?誰かの保証人になってないよな」と確認することがベストだと思う。

なかなか聞けない話題だし、ましてや死ぬ直前という段階だと、こんな「死を前提にした」話題を聞くことは難しいだろう。

だからこそ言いたい。

自分が死ぬ前に、いくらの財産がどこに存在し、借金はあるのかないのかを、きちんと紙に書いて、残しておけと。

これ、死に行く者の義務であり、責任だと思う。

その所在を明かさずに死んでいくのは無責任だと思う。

残された者がどれだけ苦労することか。

ちなみに現金700万と家を売却できた時の金額を考えれば、2000万はなんとか返済できたと思うけど、「本当に他に借金はないのか?」という疑問が拭えなかったので、放棄する決心をしたのでした。

相続放棄の実際

相続放棄は3ヶ月以内にしなければいけない。

どこを起点に3ヶ月とするかは、「自己のために相続の開始があったことを知ったときから」と定められてる。

普通は親の死を知った時からでしょう。

自分の場合1月末に父が亡くなり、銀行から連絡があったのが3月初旬だったので、4月末までの1ヶ月半で放棄手続きをしなければいけなかった。

相続放棄に必要な書類は第1順位法定相続人の場合以下の通り。

  • 相続放棄の申述書
  • 非相続人の戸籍の附票または住民票の除票
  • 申述人の戸籍謄本
  • 非相続人の死亡がわかる戸籍謄本

上記以外に今回は別途返信用切手(420円)と収入印紙(800円、申述書に貼る)が必要だった。

第1順位法定相続人とは、死亡した人の相続権利が最初に発生する人を指す。

今回の場合母はすでに亡くなっているため、父の死亡により、息子の自分が第1順位法定相続人となった。

ちなみに相続放棄した場合、相続権は第3位まで引き継がれていくので、どの親族まで対象になるかはweb等で調べておいた方がいい。自分が放棄した後、故人の借金の請求が次の相続人に移ることになるからだ。

次の相続人に「うちの父の借金の相続権があなたに移ります」と教える義務はないのだが、今までと今後の付き合いを考えれば、当然連絡するのが筋でしょう。

なお、裁判所から最終的に「放棄を認めます」という意味の受理通知書を受け取った時、別途「次の相続人に連絡してあげた方が親切です」という手紙が同梱されていた。

上記書類の中で「非相続人」は、死亡した人を指す。今回の場合父を指す。

普通の人は戸籍の附票とか住民票の除票なんて見たことも聞いたこともないだろうから(もちろん自分もそうだった)、本籍地の役所に問い合わせるといい。すぐに教えてくれるし、手配してくれる。

「相続放棄の申述書」は、要は放棄の申込書みたいなもので、裁判所のホームページからダウンロードできる。このサイトには記述例も載っているので、あわせて見ておくといい。

上記書類を揃えたら、申述書を所轄の家庭裁判所に提出する。

所轄というのは、亡くなった人の住所を管轄している家庭裁判所。

一番手堅い方法は、その裁判所へ書類一式を持ち込んで申請すること。なにか間違いがあるなら、その場で教えてくれるし、間違いがなければ、2-3時間でその日のうちに相続放棄受理通知書が発行される。

この、受理通知書をもって放棄したことが認められる。

つまり、後に銀行から借金の請求があっても、この通知書のコピーを渡す/見せることで、自分には支払い義務がないことを証明できる。

今回の場合、親が住んでいた場所と自分が今住んでいる場所は遠いので、郵送で行った。

郵送先の住所も所轄の裁判所のホームページに書いてあるが、できれば書留で送った方がいい。

書類や書式に問題なければ、今回の場合3日後ぐらいに裁判所から返信が来ていて、受理通知書が発行されてた。webで事前にいろいろ調べたところ、10-15日ぐらいかかると言われていたのだけど、最近は手続きが速くなったのか、「もう!?」というほど早く届いた。

ちなみに、郵送で手続きをする場合ひとつ心配なのが、「手続きに時間がかかった場合(書類や書き方に不備があって、やり直しを郵送でする場合など)、3ヶ月を過ぎたらどうなるのか?」ということ。

これは問題なくて、最初に申述書が裁判所に届いた日が3ヶ月以内であれば大丈夫。

裏を返すと、3ヶ月以内に申述書を裁判所に届ける必要がある。自分が郵送した日ではなく、裁判所に着いた日なので注意。

実際今回のやり取りを裁判所としている時、裁判所は「間違っていてもいいから、とにかく3ヶ月以内に申述書をこちらに届くようにしてください」と言ってた。

以上で手続きはすべて完了だ。あとは相続権が移る親族に連絡をしてあげよう。

ちなみに自分と親族とでは必要な書類が若干異なるので注意。webで調べれば分かります。

それと、自分のケースにもあったのだけど、次の次の相続人(普通は父の兄弟姉妹、つまり自分から見て叔父や叔母)がすでに死亡している場合、その子ども(自分から見ていとこ)に相続権が移る。

「次の次の」というのは、「次の相続人」は父の親(自分から見て祖父母)になるのだけど、まぁ普通は祖父母の方が先に亡くなってるよね。

なので実際は第3位法定相続人は叔父・叔母になることが多い。その時叔父・叔母で亡くなっている人がいると、その子どもたちに相続権が移り、この時必要な書類も叔父・叔母たちとは若干異なるので、注意して連絡をしてあげよう。

相続放棄をする時にした方がいいこと

今の時代弁護士がwebサイトで情報を出していてくれたり、裁判所のホームページでもいろいろ情報が載ってる。

でも「自分の場合はどうなるのか?」と心配になることもある。

だから、今はおそらくほとんどの市町村で「弁護士の無料相談コーナー」があると思うので、申し込んで相談してみるといいと思う。

自分の場合、銀行から連絡があって、すぐに市役所のホームページを調べ、市役所に電話して申し込んだ。申し込んだ時点で1週間先まで予約いっぱいだったので、10日後の土曜日に枠が取れた。

3ヶ月という期限を考えると、すぐには弁護士と話ができないことも考慮して、なるべく早く、とにかく予約を取った方がいいと思う。

ちなみに自分の場合は、手続きに必要な書類、書き方、かかる日数などをかなりwebで調べたり、裁判所に電話して聞いていたので、そのことをwordでまとめて印刷し、弁護士に見てもらい、「これで間違っていませんか?」という確認がほとんどだった。

すべて「その通り」という返事だったので、20分だったか30分の面談時間において、最初の5分ぐらいでメインの要件は終わってしまった。

その後は「参考までに」と、いろいろ質問して、答えてもらう時間だった。

相続放棄にかかった費用

これは人にもよるんだけど、意外とかかることもあるので前もって準備しておこう。

申請に絶対必要となるのが、上にも書いた通り、返信用の切手と収入印紙。1,200円ぐらいのものなのでこれは大したことない。

しかし、親の戸籍謄本や除票を取得する時、記述が長い=枚数が多いと結構な金額がかかる場合がある。自分の場合数千円かかった。

自分に兄弟がいたり、相続権が移った叔父・叔母の分まで親の戸籍謄本等を用意すると軽く数万円はかかる。

今回叔父・叔母の分まで自分が手配したので、戸籍関係だけで3万以上かかった。

それ以外にも封筒代、簡易書留代などもかかるので、数万円は準備しておいた方がいいでしょう。

相続放棄をすると決めたら「やってはいけない」こと

これは無料相談で弁護士に教えてもらったことなのだが、放棄すると決めたら相続予定だった実家に一切手をつけないこと。

自分の場合もともと相続するつもりだったので、生ものや臭いがするもの、火気に注意するものはすぐに捨てて処分していた。

その後銀行の通帳や実印などを探し当てたので、「あとはゆっくり整理すればいいや」と思っていた。

だから、ほとんど手付かずのままだったのだが、放棄すると決めたら「家具など一切手を触れないほうがいい」と弁護士にアドバイスをもらったのだ。

それは、放棄をしようとしているのに、たとえ遺品整理であっても家のものに手を付けてしまうと、「売却しようとしていた」とみられる可能性があり、つまり相続の意志があったとみなされることもあるとのこと。

不要な疑いをかけられるぐらいなら、余計なことはしない方がいいとのことだった。

死亡保険は受け取れる

子どもを受取人にしていた死亡保険を父はかけていた。日本郵便のかんぽだったのだけど、受け取り手続きをしに郵便局へ行くと「相続手続きをしてくれ」と言われ、びびることになった。

死亡保険って、遺産相続になるの?と。

だったら受け取れない。

しかし、その後webなどで調べると分かったことは、死亡保険は相続に当たらないということ。ただし、「みなし相続」という扱いになるらしく、そのために手続き上相続手続きの書類を書く必要があったらしい。

ただ、これは保険会社によっても違うこともあるらしいので、受け取る前に保険会社にしっかり確認した方がいい。今回はちゃんと受け取れた。

終えてみての感想

手続き中は、やることがありすぎて大変だった。気持ちも焦ってるし。

でも実際に終えてみると、手続きのフローは整理されていて、裁判所に必要書類を提出するだけで完了するので、思っていたよりはシンプルだったなということ。

一度経験すると、プロセスの全体像が見えているので、叔父・叔母に「こういう風に手続きしてください」という説明も要領を得ているし、実際叔父・叔母たちはすぐに手続きが完了した。

だから、放棄すること自体は恐れる必要もないと思う。

しかし、さっきも書いた通り、自分に借金があるのかないのか、ないとしても財産はどのように管理されていたのか、紙に書いて残しておくのは死ぬ前の最後の義務であり、仕事だと思う。

今回たまたま銀行が連絡してくれたから、父に借金があることが分かったけど、なかったとしても、父はどの銀行のどの支店を使っていて、この通帳の実印はどれだ?、土地の権利書はどこだ?と調べるのにかなり時間がかかった。

父も母も死んだので、いまさらどうこうは言わないけど、自分が死んだ時家族が迷わないように、こういった財産関係を記した書類は分かりやすいところに残しておかないといけないと思ったのでした。

 

スポンサーリンク

ライフカテゴリの最新記事