管理職が陥りがちな「人の標準化」

管理職が陥りがちな「人の標準化」

管理職の悩み「属人化をなんとかしたい」

特にIT企業の中間管理職からよく聞く話。

「すごいSEがいるからなんとか仕事をもらえているけど、その人がいなくなったら案件がなくなる。なんとかして組織をボトムアップして、標準化したい

はい、出ました、標準化。

気持ちは分かる。

10人いれば、その品質はまちまちで、スーパーSEとまでいかなくても、お客様の要件を満たせる程度には、業界標準程度には足並みを揃えたい。

できれば全員、そのスーパーSEのレベルにまで持っていきたい。

はっきり言います。

それ、無理です。

教育は必要

そうは言っても、明らかに標準レベルに達していない人を教育するのは必要。それは会社から見ても必要な投資。

どう教育しても、最低限のレベルにまで伸びない人は、どこかのタイミングで諦めるしかない。異動なり、最悪退職してもらうしか手段はない。

ただ、ある程度のレベルに標準化できた次のステップとして、「あのSEレベルにまで全員をもっていきたい」とは考えない方がいい。

所詮無理ゲーだから。

進化した組織は属人化する

強い組織を作っていくには3段階ある。

ステップ 0

各人の品質がばらばらな初期状態。カオスなわけだ。

この段階では世の中にたくさんある「標準化」本を読んで、導入しよう。標準化のメソッドが使えるはず。

この段階では、「最低限必要なレベル」以下の人を作らないことを目的とする。それほど難しいことではないはず。

ステップ 1

最低限のラインになっているステップ0から、そのラインをできるだけ上げていく段階がステップ1。

顧客から見ると、「御社は誰に頼んでもいい仕事をしますね」と言われるレベルだ。

ここまでくれば、ブランド化もできてるはずで、それ自体に価値が出てくる。

IT企業なら、「どのSEが出てきても、設計に間違いがない」とか、「誰が書いてもしっかりとしたドキュメントが出てくる」とか。

人に対する投資はこのステップに最大限割くべき。ここで作られたブランドは非常に強いからだ。

コンペになった時も負けることは少なくなるだろう。

ただし、この記事の主題である中間管理職の悩みはここで生じる。さっきも書いたけど、その無理ゲーは考えない方がいい。

ステップ 2

組織の完成形がここ。

スーパーSEや、スーパー営業マンがいる状態、かつ他の社員も平均以上に揃った状態。

繰り返しになるけど、中間管理職は社員全員をスーパーSEやスーパー営業に育てようとしないこと。

この段階の組織は究極の属人化になってる。そして、仕事はスーパーSEやスーパー営業を中心に回すのだ。意図的に。

顧客からは、「あのSEにお願いしたい」「あなたが担当営業だから仕事をお願いしたい」と言われる状態。

中間管理職はその言葉を聞くと、嬉しいことは嬉しいが、できれば他の社員にもそう言われるレベルになって欲しいと思う。

しかし、スーパーSEやスーパー営業はやはり人とは違う。全員をそのレベルに引き上げようとすると、組織全体が疲弊し、下手すると崩壊する。

この段階で中間管理職や経営層が考えるべきことは、スーパーSEやスーパー営業をいかにパンダにするかということ。

その人がいるから仕事がもらえるなら、見世物として徹底的に使うべき。

その人がいるということ自体が企業のひとつのブランドになっているわけだ。

そして、管理職や経営層が打つべき戦略は、そのスーパーSEおよびスーパー営業が伸び伸びと、気持ちよく仕事ができる環境を作ること。

この段階の組織では、それが管理職以上の仕事になる。

こういった、できる人たちがブランドになってしまっている(属人化している)と、「この人が辞めたら仕事がなくなる・・・」と危惧を抱くかもしれない。だから標準化したいと考えるのだろう。

考え方が逆なのだ。

無理なレベルにまで全員を引き上げようとして、組織を崩壊させるのではなく、トップレベルの人に「この会社は最高」と思わせる環境を作って用意し、周りがその人を見ながらついていくという形態を作らないといけない。

接待交際費を使わせてくれ?ばんばん使わせてあげよう。

ハイスペックPCが欲しい?1台でいいのか?5台ぐらい買っといた方がいいんじゃない?

通勤電車がきつい?いいよ、空いてる時間においでよ。なんなら自宅で仕事してもらってもいいよ。

中流意識が強い日本の会社だと、こういう特例を認めると、それこそ「組織が崩壊する」と心配する管理職がいる。

しかし、ここまで突き抜けた人材だと、特例を認めても誰も文句は言わない。

そんなことで文句言う社員がいれば、その社員には去ってもらった方がいい。

中流にレベルを合わせて凡庸な組織になるぐらいなら、トップレベルの人を徹底的に囲って強いブランドを作った方がいい。

それを見て、「俺もあのレベルに行きたい」と思う人がでてくれば、めっけもんだ。

また、特例的優遇をすると、その人自身が甘えたり、不正をするかもしれないと危惧する経営層もいる。

その考えが甘い。そこまで来た人なら多少の優遇ぐらいで怠けたり、不正をしたりなんかはしない。

だらけたり、不正をする人は所詮スーパー○○のレベルに行っていない人だ。管理職や経営層は人の目利きが重要になる。

少し背伸びをして、強いブランド、強い組織、売上が好調な企業を見てみよう。必ずスーパーSEやスーパー営業(まれにスーパー社長)がいるはずだ。そして機会があれば、そのスーパー○○に話を聞いてみよう。

「そんなに優遇されてるの?」というほど、会社が配慮してくれてるはずだ。

 

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