2025年万博に大阪が立候補してるって知ってた?
自分は知らんかった。知人が万博招致に関わる仕事をしていて、半年前に初めて知った。
大阪に行くたびにタクシーの運ちゃんとか、取引先の人とかに聞いてみると、さすがに大阪の人は知ってた。
ところが、東京で会社の人や友人に聞いてみると、「大阪万博?なにそれ?」と、誰も知らんかった。
ま、15人ほどにしか聞いてないけど。それでもゼロだよ。知名度低すぎ。
オリンピックにしろ、ワールドカップにしろ、「また、箱モノばかり作って」と批判されがちな万博。
今の大阪で(7年後だけど)、万博を開催する意味はあるのか。ちょっと調べてみたので、記事を書いてみる。
そもそも万博ってどうやって開催されるか知ってる?
自分は知らんかった。
万博は正式には国際博覧会と言われ、「来年やりま〜す」とか勝手に開催するわけにはいかない。
国際博覧会条約(BIE条約)に基づいて、選挙が行われ、その結果1位を勝ち取れると初めて開催する権利が生ずる。
2025年開催予定の万博には現在3カ国3都市が立候補を表明している。
・アゼルバイジャン:バクー
・ロシア:エカテリンブルク
・日本:大阪
フランスも手を挙げていたが、降りたとのこと。
そして、その選挙は今年2018年11月に行われる。その選挙で、どの都市に開催権利が与えられるか決定する。
知らんかったなー。
万博開催にいくらかかるのか
箱モノ産業を行う価値があるのか。この手の話が上がると、どこかのシンクタンクが経済効果を発表するが、経済効果の計算方法は人によって全然違うし、検証のしようもない。
だから、波及的な経済効果は「付加的なもの」として考え、ここでは「事業単体で収支合うの?」という観点でのみ考える。
東京ではあまり報道されていないけど、大阪の方の新聞(サイト)を見てみると、建設費、運営費などの数字が発表されてる。
それによると、費用の予定は
・会場建設費:1,250億円
・インフラ整備費:730億円
・運営費:830億円
となってる。
インフラ整備はともかく(鉄道は含まれていないようだけど、道路とか電気とか通信とかのインフラなのでしょう。これは行政(国と大阪)が出すのでしょう)、建設費と運営費がやっぱり高い。
桁が大きすぎて、今の大阪府/市に出せるのか?と疑問に思っても、すぐには分からない。
そこで直近の2005年愛知万博の例と、リリースされている情報および大阪の収支を見ながら考えてみる。
愛知万博の実態
いろいろ言われてきた愛知万博だったけど、終わってみるとお金の数字に関しては以下のようになってる。
・建設費1,350億円を国、地方行政、民間企業(の寄付)で等分する。民間負担は1,350÷3で450億円。
・集まった寄付は273億円。
・他にも企業から現物提供があり、金額にして151億円。
・競輪など公営競技の収益から199億円捻出。
・約半年の開催で入場者はのべ2,000万人を越え、80-100億円程度の黒字になった。
・閉会後、年間10億程度の維持費がかかっており、うち6億は税金でまかなわれている。
ということで、結果だけを見ると、事業単体で黒字化を達成しており、維持費をどうするか問題はあるものの、万博としては成功と言えるでしょう。
大阪万博ではどう見込んでいるのか
新聞、大阪府の発表などから数字を拾ってみる。
・入場者目標数:3,000万人以上
・経済効果は2兆8859億円と試算(大阪府の発表)
・入場料は大人4,800円を予定
・入場料による収入は700億円を予定
3,000万人が全員大人だとすると、4,800円をかけると1,440億になるので、シーズンパスや子ども料金を考慮して、だいたい半額と見積もっているわけね。なるほど。
さて、では3,000万人という見込み数は妥当なのか。今までの万博の入場者数はどこかにないかなと思ったら、あった。
サイトから図をお借りします。
これによれば、
・大阪万博(1970年):約6,300万
・つくば科学万博(1985年):約2,000万
・花博(1990年):約4,200万
・愛知万博(2005年):約2,100万
となっており、今回2025年の万博で3,000万人目標というのは比較的妥当なところ。
運営費が830億予定なので、入場料収入700億も妥当な線と思える。
建設費1,250億を政府、大阪府/市、経済界で按分する話は、経済界では416億の負担となり、これが出せるかどうかが焦点になりそう。
愛知万博ではトヨタという巨人がいたけど、大阪に本社を置く大きな企業となると、キーエンス、武田薬品、ダイキン、パナソニック、伊藤忠あたりか。京都まで視野に入れると任天堂とか村田製作所、日本電産、京セラも入ってくるね。
トヨタに比べると規模は小さくなるので、こういった関西で力のある企業がどれぐらい出してくれるかがキーになりそう。
それとは別に、1970年の大阪万博時の収益積立「日本万国博覧会記念基金」というのがあり、これが190億もあるらしい。そのお金も視野に入っているのだとか。
では、大阪府の収支は?
大阪府/市に416億ものお金を捻出する体力はあるのか?調べてみた。
大阪府自身が公表しているので、そこから実質収支のグラフをお借りする。
平成20年(2008年)から9期連続で黒字運営してる。
立派じゃ〜ん!と思ったけど、ちょっと気になった。2008年って確か・・・
そう、橋下徹氏が大阪府知事に就任した年だ。
無駄な支出に対して大胆にメスを入れ、反発を受けながらも断行した橋本さん。
橋本さんが知事になるまでは散々だった大阪府の収支が、橋本知事になった途端黒字になってる。
そして、2015年(平成27年)の12月に大阪市長の任期満了で政界を引退した。そしたら翌年の決算はいきなり1/3ぐらいに減ってる。
橋本さん、あんた何者・・・ほんとに弁護士?ってぐらい、経営の手腕が凄い。大阪はこの人を手放しちゃダメだったよねぇ・・・。
行政の歳入歳出報告書って、とにかく見辛い。企業が作っている一般会計書と書式が全然違うので、なにがどうなってるのか、よくわからん。
橋本さんはこれも直そうとしていたんだけど、今でも行政の決算書は普通の人には読み解けない。
なので、BSで言う現預金がどれぐらいあるか分からないんだけど、ここ9年の決算を見る限り、416億円ぐらいは捻出できるかなって思った。
いろいろ調べての感想
調べてみると、いろんな数字が結構妥当で、「これならやってもいいんじゃね?」と思った。
冒頭に書いたけど、今回無視した経済効果が、数字の是非はともかく、産業自体の活性化は間違いなく起こるはず。
事業単体でなんとか回せるなら、これにアドオンされる経済効果への期待は大きく、万博効果は十分期待できるものと思う。
京都はインバウンド観光がすごいので、「大阪で万博やってるなら、ついでに行こうか」と思う外国人も多いはずだ。
実際、今京都駅に降りると分かるけど、見かける人の半分以上が外国人というぐらい、インバウンドがすごい。
京都から夢洲まで直通の特急を出せば、京都からの流れ客も十分呼び込めるでしょう。
うん、思ったよりまともな計画だった。
東京オリンピックも見習えよと思ったよ。